本の町とは The organizer's message

私たちがつくろうとしている「本の町」

私たちが高遠に出現させようとし、何年か後には期間限定ではなく、いつでも訪れることが出来、暮らすことが出来るようにしたいと思っている「本の町」とはどんなものでしょうか?

手本になっているのはイギリス(ウェールズ)にあるヘイ・オン・ワイ(hay-on-wye)という町です。この人口2,000人ほどの小さな町には規模や専門分野など様々な古書店が30軒以上あって、世界中からたくさんの人が集まるブックタウンとして既に40年以上の実績があります。
数年前にそこを訪れたスタッフの二人が、日本にもこんな場所があったら楽しいだろうなと考えたのがこの活動の発端になりました。

私たちの考える「本の町」の特徴としては
1.ひとつの町としての生活が息づく町
2.本に興味がなくても楽しめる町
3.車を置いて歩いて周る町
4.大都市から遠い町
といったところでしょうか。


ひとつの町としてのまとまった単位で生活が成り立つ町

地方都市の町中からは多くの店が郊外の幹線道路沿いに移転していきます。これは交通手段の限られる方にとっては死活問題です。またこれにより車中心の生活を余儀なくされるため、行動範囲が点と点を結んだだけのものとなり、新しい発見や出会いなどの刺激が乏しくなってしまいます。
歩いて周れる大きさで、本を人やモノを結びつける媒介に、一つの経済単位として成り立つような町を考えています。

本に興味のない人でも楽しい町

家族で遊びにいったとき、一家の中には本に興味のない人もいると思います。その人たちにとっても魅力的な食事や温泉、質の高いクラフト作品、アウトドアのアクティビティ、景色のよい散歩路、その他雑多な要素が町中にあれば、充分楽しんでいただけると思います。
だから本の町は本屋がたくさんあるだけでは成り立たないと考えています。

車を置いて歩いて周る町

これは1.とも関連しますが、目的の場所を車でつないで訪問するだけではガイドブックの記述を再確認するだけの旅と同じです。歩くことによって店と店との間の時間や空間から新しい発見や出会いがあるかもしれません。かりに何も無かったとしても余白は必要なものです。
目を働かせるための睡眠、音楽における休止、文章の行間、のようなものが再認識出来る町を考えています。

大都市から遠い町

距離があることによって生じた非日常性が町の魅力をより一層引き立てます。そこに暮らす人々にとっては日常でも、旅人にとっては祝祭空間であるような町を考えています。

©中川カンゴロー
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